仮面ライダーBlack
この作品は、少年サンデー30周年企画として発売される「増刊号」に掲載されるよう依頼が来たもの。ハッキリ言って「ライダー描かないか?」と言われたときは、かなり緊張したモノだ。実はその前にも「徳間書店」(少年キャプテンだったと思う)から、「ライダー描きませんか」と言う依頼を一度受けたことがある。が、その時はまだサンデー以外に描いたことがなかったし、手持ちの仕事で手一杯だったし、何より「今やっている仕事だってパロディ漫画のようなモノなのに、ここでそれを描いちゃあだめになっちまうかも」と言う気持ちから、断った。しかしネーム(絵コンテ)はほとんど出来ていたように思う。内容は、・・・・・・えーと・・・・・・・そうそう思い出した、「もう一度一から作戦」だ。最後はカメレオン男だ。そうそう。50ページくらいの長さだった。まあ、詳細についてはまたこの次の機会に・・・というわけで、この二度目の依頼、しかもサンデーでもテレビでも「仮面ライダーブラック」をやっている最中。作品的にスランプ状態の島本は「これで何かがつかめるかもしれない・・・」と言う気持ちで引き受けた。しかしなんと言ってもスランプ状態。いい作品が描けるかどうか全く解らない。ここしばらく手応えのある仕事はしていない。できないのだ。もしこれでしくじったら自分へのダメージも相当だろう。今でこそそういった作品はそこらここらに氾濫しているし、コミケに行ったらいくらでも触れる機会のあるジャンルだが、当時はまだライダーは「ウルトラマン」のような永遠に引き継がれてゆくまでに一般化されたジャンル(キャラクター)ではなかった。「Black」でさえまだ始まったばかりだ。どういう評価になるか定かではない。何かライダー的にはちょっと今までと違う感じがしていて、まだ自分には把握できていない。だが「仮面ライダー」では失敗できない・・・・しかし、どういう語り口調で行くか!?やはり、1号、「本郷ライダー」だろう。そう気持ちがそれなりに決まりそうになったとき、担当編集サンから電話があった。「サンデー」では、テレビのライダーは出せない、いや、以前の原作も使ってはだめだということだ。そういえば会社が違う。これは仕方がない・・・だが、どうする!?当時の担当編集がライダーに詳しいタイプの人ではなかったので、逆にいい結果が出たのかもしれない。私は担当編集にあわせた作品造りをしてしまうタイプの漫画家なのだ。(特にその時期は弱かった。)担当はいわゆる「おたく」タイプの人では全くなかったので一般の人でも読めそうな内容に方向を向けた。担当氏は打ち合わせの時に「俺にはライダーは解らないが、君にはライダーが描ける!」といつになく優しい言葉を掛けてくれたが、全く自信はなかった。一回原稿を渡した後で3ページくらい気に入らないと、新しく描き直した。(ライダーチョップのあたり。)結局ああいう形になり、久しぶりに評判のいい作品になった。漫画評論本でもべた褒めされ久々に嬉しかった。ライダーで手応えを感じた島本だが、ライダーばかり書き続けるわけにも行かない。この後、さらに島本はいい(納得のいく)作品が描けない状況に押しつぶされながら彷徨っていくのである。
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